Wednesday, July 23, 2008

BACK IN WISCONSIN. DAY 1


EBCO Lab on Erie Ave. Sheboygan WI.

ゴミとファッション。虚栄と繁栄。見栄とエゴ。欲望と堕落。
4日間の旅行を経て戻ったニューヨーク、少なくともマンハッタンはそんな街に見えた。
1年間を経ていろいろな物を見て来たけれど、もうここに残る意味はきっとなさそう。
大事な物が気がついたらなくなっている、そんなスピード狂のような街。うん、もう必要ない。

そんな時に一年ぶりに戻ったウィスコンシン州シボイガン。
灰色の雲が相変わらずよく似合っていた初日は、久しく会っていなかった友人大集結のライブ日和だった。
ニューヨークの高額レントに苦しみながら半ばヒッピー状態で生き延びているアーティストとは180度違った相変わらずあまりにユルい人々による極上のライブミュージック。外から溢れんばかりに入ってくる情報と内に佇む緑で平和的な現実の間でシュールリアリスティックに覚醒しまくるミッドウェスト地方のアート性は、都市が一番だった時代の終焉を見事に象徴していた。政治的にも経済的にも見放されたアメリカ中西部におけるこの覚醒したアート性こそ現代のアメリカンハードコアなのではないだろうか。決して時代遅れとかじゃない、ニューヨークのカビだらけのアーティストロフトで騒音をたてるやり方もあれば、水辺のベンチで何時間も過ごしながら生まれてくるアートも存分に現代的だということ。ひねくれたヒップスターだけがかっこいいわけではない、曲がりくねってしまった世間からはずれて見えてしまう、緑の環境が育てた純粋性が訴えかける何かは本当に強烈。スタイルじゃない。地理的に無謀な地で、流行とともにピストバイクにまたがればいいわけじゃない。「都市」と「現代」が同じタームで括られる時代こそとっくに時代遅れなんだろう。だったら尚更もうここには用は無い。


近所に住むおじさんと少女による超アナログVJ


Cooper a.k.a. Koolaid on Gt.


Jared R. Beckman plays genius.


Ross Fale on Gt.


Jared & Andrew


LUKE BECKMAN and his friends dancing.

Wednesday, July 9, 2008

REVIEW: SONIC YOUTH




 「River to River Festival」。これは毎年夏シーズン中マンハッタン島ダウンタウン地区で3ヶ月間毎週、様々なバンドによる無料のライブが繰り広げられるいわゆる夏フェス。昨年もアニマル•コレクティブ、バトルス、といったバンドが出演し大盛り上がりを見せていた。
 歴史をたどれば同フェスが誕生したのは02年。きっかけは9/11、同時多発テロで沈没したロウアーマンハッタンをアートの力で息を吹き返させる、といった主旨で始められたという。西はハドソン川、東はイーストリバーに囲まれるダウンタウンエリア内で開かれる、というのが名前の由来。
 昨年も、70年代に活躍したロウアーイーストサイド出身の伝説「SUICIDE」が出演するなど、同フェスにはコアなファンも多く集まり人気を誇っていたが、06、07年ともに期間内で一番注目される7月4日、独立記念日の出演アーティストがスコットランドのベル&セバスチャン、カナダのニューポルノグラファーズという外国勢であったなど、その主旨に対する異議も多くのメディアで唱えられていた。
 しかし、ニューヨーク市出身のオルタナティブ/ノイズ音楽シーンの重鎮ソニックユースの出演で決まった今年の記念日は、無料にも関わらずこの日だけはチケット制が設けられ、予約開始後数日でソールドアウト(?)になる異例な出来事となった。
 
 キム•ゴードン(Vo./Ba)は「X-girl」のデザイナーとしても有名で、今年2月にはマーク•ジェイコブスのショウでも彼らの演奏が大々的にフィーチャーされるなど、何かと音楽外の話題も多い無冠の帝王ソニックユースだが、おぉ、始まれば何のその。ノイズという音の洪水、最近ではすっかり鳴りを潜めているように見えるニューヨークアンダーグラウンドシーンの健在ぶりを見せつけられたような気がした。
 今年はソロでも傑作「TREES OUTSIDE ACADEMY」を産み出したサーストン•ムーア(Vo./Gt.)は今年でなんと50歳。最近でも「NO WAVE: POST PUNK. NEW YORK UNDERGROUND 1976-1980」の著作を記念し、トライベッカにてリディア•ランチを招待、「TEENAGE JESUS & JERKS」の再結成ライブを率先して実現するなど、相変わらずの社会貢献を果たしている。そう、ニルヴァーナもダイナソージュニアもソニックユースが見初めた、というのも有名な話。
 この日はもちろん、Tシャツに短パンといった出で立ちのMR. マーク•ジェイコブスも客席に紛れ込んでいました。客席には、マーク•ジェイコブスブランドのソニックユースTシャツを着たファン、もろグランジなネルシャツ/ロン毛の白人族もちらほら。モッシュもダイブするのも良し、ノイズに揺れるのも良し。選曲も名盤「DAYDREAM NATION」や「GOO」、「DIRTY」からも多数演奏するなど、盛り上がらないわけがない。締めは「100%」。めちゃくちゃ盛り上がった。リー•ラナルド(Vo./Gt.)のポエトリーにもしびれた。でもとにかく、その他に類を見ないノイズ天国にぶちのめされた。
 
 その晩、独立記念日を祝し打ち上げられた花火の退屈さに寓の根を言うまでもなく、全くいつまでこうやって上の世代に踊らされる日が続くのだろうと、友人宅の屋上にてふと疑問に思った。確かにソニックユースは最高にかっこよかった。でもどうせならもっと自分の同世代による最高にかっこよい音楽に共鳴したい。見せかけのスタイルなんて打ちのめすぐらい強烈な同世代の出現に刺激を受けたい。「〜のリミックス聴いた?」だとか、「あのプロモまじでヤバいよ」だとかそんな話がしたいんじゃなくて、もっと近い物同士が刺激しあえる環境にいたい。芸術を着飾らずに直視するのが当たり前な時代じゃなきゃどう考えても面白くない。そう、誰もが知っている単語の羅列みたいになってしまっているこんなクソみたいな20世紀的レビューじゃなくて、感嘆符と形容詞ばっかりですっかり埋まってしまうような、そんな感動を素直に表現できる正直な環境が欲しい。どこそこのレコードレーベルだとか、〜とのコラボだとか、そんな格好付けた表現も出来ないようなライター泣かせの世界で生きてみたい。

Saturday, July 5, 2008

You Don't Know Shit About Collective Yet.



collective は、2008年7月4日の米国独立記念日を機に、ニューヨーク州ブルックリン区はブッシュウィックにて始動致しました。7月4日に意味は特にありません。ただタイミングが良かったのです。

 「collective -コレクティブ-」とは、集合体、共同体、のような意味を持ちます。同じ集合体でも「グループ」という単語は、予め「個」が集まった上での「集合体」という感覚ですが、「コレクティブ」という言葉では、「個」それぞれがそれぞれの目的のもとに一時的に「集まる」というような逆説的な説明がよく似合う粋な言葉です。
 別の表現を用いれば、我ら「collective」には、つまり「グループ」を形成するほど「個」の纏まりなんてものは無かった。やりたいことは多すぎるくらいイメージできても、読書や音楽鑑賞などの個人行動以外の何にも魅力を感じられない、外へとほぼ一切の興味を向けられない我が空っぽの世代の2人がたまたま、米国はブルックリンで「このままじゃつまらないぞ」と立ち上がったわけです。
 かつてリチャード•ヘルが唄った「ブランク•ジェネレーション」は2008年今日の気分とピッタリ合い、僕らはそのくらい空っぽの世代だからこそ、きっとキレる17歳と当時のメディアに指されていたわけで、今日の日本でも切り裂き事件など数多くの迷事件を巻き起こしている我が世代もようやく書を捨て街へ出る時期がきていると思うんです。米国のドルが下がっているのにも関わらずいつまでたってもドルに勝てない円の敗戦国、不況の手下みたいな国の中で、せっかく頭でっかちに手元に抱えているその破裂しそうな知識も理屈も陳腐なアイロニーも、自立できれなければ、外に向かって表現できなければいつまでたっても僕らアンダードッグなわけで、そうしたらどう考えてもつまらない。FUCK THAT BITCH. 楽しくないだろ。
 ならばやりたい事を特定なジャンルに絞れずにもまずは行動も良いのかもしれない。そう思って始まったのが「collective」です。商業的な意識はまだ鳴りを潜めています。問題はないでしょう。二酸化炭素の排出権なんぞを売買しているこのご時世に、この資本主義だっていつまで続くのやらって感じなわけで。LEDなどの地域通貨が各地で増える一方で、巨大大手による環境経営などという言葉が盛んに叫ばれるこの世の中で、資本やその上によろよろと立つ地位や名誉がいつまで意味を持つのでしょうか。例えそれが続くとしても、また僕らに今後もしばらく商業的意識が芽生えてこないとしても、どっちにしろ楽しまなければ最後には何が残るのでしょうか?

 だからとりあえず楽しむ。そのために人が集まる。もうこれ以上愉快な事はないので、独立記念日の花火が上がった雨上がりのこの日(これを書いているのは翌日の5日ですが)、「collective」は出航致します。致しました。
 センスがある方大募集中。フットワークが軽く行動力ある方優遇致します。all ages. 興味有る方は同ウェブサイトの「CONTACT」よりEMAILにてお申し込みください。

 宜しくお願い致します。FUN FUN!!!