Thursday, September 25, 2008

Sunday Morning Mix


帰国初日に愛用のPower Book G4のEnterキーを愛犬に食べられてから久しい。
未だ不在のEnterを他所にアップルネタを一つ。

今日偶然気付いてアップデートしたiTunes。
このiTunes 8のデザインが素晴らしかったのもそうだけど、以外と便利そうで楽しみなのが新機能の「Genius」。

「パーフェクトなプレイリストを作ってくれるGeniusの登場です。曲を聴きながらGeniusボタンをクリックすると、ライブラリにある相性のいい曲を集めたプレイリストをGeniusがその場で作ってくれます。」ーアップル

今までのShuffle機能のむず痒い所を解消した以外と便利かもしれない機能。ぶっ飛んだミックスは期待出来ずとも、家で音楽をただかけていたいような気分にはピッタリかもしれない。

ではどんな感じか。
試しにヴェルヴェットアンダーグラウンドの「サンデーモーニング」で試してみると、

Nico→Joy Division→Beirut→My Bloody Valentine→Sonic Youth→Television→Talking Heads

となる。
ではウータンクランの「Bring Da Ruckus」で始めると

Madvillain→Lupe Fiasco→The Cool Kids→Pete Rock→Handsome Boy Modelling School→Dizzy Rascal→Busdriver

だと。
リーモーガンの「The Sidewinder」だと

Thelonious Monk→Charlie Parker→Hank Mobley→Charles Mingus→Jim Hall→Wes Montgomery→Jaco Pastorius

だって。
ならば宇多田ヒカルの「ぼくはくま」で始めると、

安室奈美恵→My Little Lover→Carpenters→髭→曽我部恵一→中村一義→Feist→スピッツ→久石譲→Kreva


クレバかよ、て感じもしたけれど、この機能は良いかも。
シャッフル機能も決して嫌いではなかったけど、膨大な楽曲量が詰まってるパソコンの場合、ミスチル後の灰野敬二とか、サイモンアンドガーファンクル後の卍ラインとか、気分的によろしくない、或は最低 or 迷惑とも言えるミックスが多く控えていたのでこの新機能には感謝。


あと久しぶりの新しいビジュアライザ!これまたテンションが上がった一日の終わりだった。

では、farewell.

Friday, September 12, 2008

Et Son Merveilleux Essai

新聞には出会いがあります。ネット全盛のご時世で書店が懸命にその役割を果たしていると同様に、時には社説から、時には文化面から、新聞には素晴らしい出会いが散りばめられてあります。ニュースを把握するならばネットで充分。それはその通り。けれど新聞には思いも寄らない物事を知るミディアムだということを時に思い知らされる時があります
これはこの夏の旅行で偶然手にした8月のある日付の福井新聞の社説で出会った詩人萩原朔太郎著の随筆。


 「先日大阪の知人が訪ねて来たので、銀座の相当な喫茶店へ案内した。学生のすくない大阪には、本格的の喫茶店がなく、珍らしい土産話と思つたからである。果して知人は珍らしがり、次のやうな感想を述べた。先程から観察して居ると、僅か一杯の紅茶を飲んで、半時間もぼんやり坐つてる人が沢山居る。一体彼等は何を考へてゐるのだらうと。一分間の閑も惜しく、タイムイズマネーで忙がしく市中を馳け廻つてる大阪人が、かうした東京の喫茶店風景を見て、いかにも閑人の寄り集りのやうに思ひ、むしろ不可思議に思ふのは当然である。私もさう言はれて、初めて喫茶店の客が「何を考へて居るのだらう」と考へて見た。おそらく彼等は、何も考へては居ないのだらう。と言つて疲労を休める為に、休息してゐるといふわけでもない。つまり彼等は、綺麗な小娘や善い音楽を背景にして、都会生活の気分や閑散を楽しんでるのだ。これが即ち文化の余裕といふものであり、昔の日本の江戸や、今の仏蘭西の巴里などで、この種の閑人倶楽部が市中の至る所に設備されてるのは、文化が長い伝統によつて、余裕性を多分にもつてる証左である。武林無想庵氏の話によると、この余裕性をもたない都市は、世界で紐育と東京だけださうだが、それでもまだ喫茶店があるだけ、東京の方が大阪よりましかも知れない。ニイチエの説によると、絶えず働くと言ふことは、賤しく俗悪の趣味であり、人に文化的情操のない証左であるが、今の日本のやうな新開国では、絶えず働くことが強要され、到底閑散の気分などは楽しめない。巴里の喫茶店で、街路にマロニエの葉の散るのを眺めながら、一杯の葡萄酒で半日も暮してゐるなんてことは、話に聞くだけでも贅沢至極のことである。昔の江戸時代の日本人は、理髪店で浮世話や将棋をしながら、殆んど丸一日を暮して居た。文化の伝統が古くなるほど、人の心に余裕が生れ、生活がのんびりとして暮しよくなる。それが即ち「太平の世」といふものである。今の日本は、太平の世を去る事あまりに遠い。昔の江戸時代には帰らないでも、せめて巴里かロンドン位の程度にまで、余裕のある閑散の生活環境を作りたい。」ー「喫茶店にて」萩原朔太郎著


昭和50年代には(人口との比率で)喫茶店の多い街ナンバーワンだったと言われる地元福井の新聞らしい自社記事。福井市だけでなく日本全国、その数もめっきりと減少している喫茶店とかつてのゆとり教育を掛けた、日本海の隅っこに位置するかつての喫茶店街から、都市の生き急ぐ現代性に立派に意思提示を発信する秀逸な記事でした。そして、その記事を読みこの随筆を知り得たその時間こそ真に自分にとって余裕のある閑散の生活時間でした。

二年も連続で総理大臣が退くこの現代で、物価だけがひたすら上げられ苦しみながら自国のトップを決める投票権利さえも持てずにただただ生活に追われている僕ら国民は、自民総裁選の街頭演説になんか別に目を向ける必要も無いと思います。
それでも新聞はもっと読んだ方が良い。知識をつけるためだけが目的ではないはずだから、文化的な余裕を過ごすための喫茶店が今ではやっぱり巨大チェーン店なのだとしても、そこで新聞を共にする時間は現代の文化的余裕性につながるはず。

アジア諸国の発展が著しくとも、20年も前にそんな経済成長は終えてしまっている我が日本に必要なのは経済政策の巻き返しだけでなく、少なくとも国民にもっと必要なのは文化的余裕。だからもっと遊べ。芸術に勤しめ。ガソリンが高いなら車くらい放棄しろ。

なんだか最近は無性に腹が立つ。

I hope the coup d'etat would come.

Sunday, September 7, 2008

helllo darling. would you like to hear some stories?

日本に着陸してから一ヶ月くらいが経ってしまいました。
8月の猛暑と湿気に殺られ北陸へ逃げたったのが約一ヶ月程前。その後帰ってきた途端、ぐいぐいと舞い降りて来る眩しすぎる夏の誘惑や地元の湿気まみれな閉鎖感に嫌気がさし、得意の鈍行列車を乗り継ぎ西へ西へと向かって大阪を越え兵庫をまたぎ岡山などへふらふら立ち寄ったり、なぜか京都のジュンク堂に入り浸ったりの二度目の軽旅行。そして思ったことは、「俺はきっとどこにも定住できねぇ」。





さて、旅先では様々な人にお世話になりました。今回は特に福井市と倉敷市の魅力にハマりました。
福井では知人の友人という僕にとってはたぶん赤の他人であろう人物の祖父が発明したソースがウリの「福井名産ソーツかつ丼」をさらっと平らげ、自殺の名所で有名と言われる東尋坊の絶景にイカの串焼きをくわえながらひたすら魅了され、たかすの海ではシュノーケル完全装備でテトラポッドまで泳ぎ、この21世紀の夏を少年のように過ごして満腹でした。



全く音楽を聴かずの13時間鈍行の旅第一話は、帰りの13時間中2時間目で早くもiPodを手に取ってしまい、お気に入りのシガーロスのアルバム「Með suð í eyrum við spilum endalaust」を再生しました。「これだよこれ!」と悦に浸っているのも束の間、ふと顔を上げると電車の窓からは山々の美しい風景が並んじゃってて、みんな一斉に「hello!」とか言ってくるもんだから、仕方なく席を立つしかなかった。もうその後は衝動的に電車を降りると服はしっかりと着たまま山まで一直線。麓までしか歩く体力がなかったけれど、そびえ立つ木々の凛々しさと田んぼの青々しさとシガーロスがシンクロしちゃってもうそれはそれは大変だった。人生のすべてが美しくて泣いちゃいそうな、神だろうが芸術だろうが政治だろうがおばあちゃんだろうが、もうすべての生に感謝感謝。そんな気分にまでなってしまった24歳夏のある昼下がりでした。





倉敷では、人種の違う貴族様達のお膝元である祇園の街をそっくりそのまんまオリジネイターである我らが庶民の手の中に収め続けているような素敵な街並「美観地区」にて、日常的な絶景をみたらし団子加えてのんびり。倉敷での実質滞在時間は短かったものの、蟲文庫(ムシ•ブンコ)という素晴らしき古本屋を発見したり、大原美術館ではロダンの彫刻からポロックのペインティングまで楽しめたり、もうすっかり楽しみました。只一つだけ。5、6年前のある朝にふらりと寄った喫茶店「ペニーレイン」が発見できなかったのが少々心残り。特別何も覚えていないその喫茶店、店名のわりにクラシック一本なBGMで拍子抜けしたけど、その名前からか非常に印象深かったので少々残念でした。



旅行は余暇の支配下で人は休息を求めて出向くのかもしれないけれど、旅は余暇の支配外で新しい発見を探すもの。まだまだ足りない。しかしそれにしても一体いくら使ったであろうこの一ヶ月。全く貯金も底が見えてきてしまってはそろそろ腰を落ち着かせなければ。ということで、もう少しブログもアップしようと思います。気力も体力も復活したので。
今週は13日につくば市豊里ゆかりの森野外ステージにて行われる「Stoned Festival」に友人が出演します。誰か一緒に行きましょう。そして同日夜は吉祥寺STAR PINE'S CAFEにてライジングサウンドの面々が出演します。つくばの後でも頑張って吉祥寺まで足を運ぶ予定なので、これも誰か行く人いたらご一緒しませんか?

※googleアカウントがないとコメント出来ない、との声がありましたので、ご一緒してくれる方がいればメールか電話ください。

それでは goodnight darling.